- EPPおよびXLPにおいて、成人及び12歳以上の青少年を対象としたフェーズ3の主要評価項目を達成した初の経口治療薬
- 主要および副次評価項目において、統計的に有意かつ臨床的に意味のある改善が実証された
- デルシメラゴンは、良好な忍容性を示し、MC1Rアゴニストとして知られている作用機序と一致する安全性プロファイルを示した
- 2026年米国皮膚科学会(American Academy of Dermatology)年次総会でデータを発表
- FDA(米国食品医薬品局)のファストトラック指定およびオーファンドラッグ指定を受けており、ローリング方式でのNDA(新薬承認申請)を準備中
田辺ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役CEO:原田明久、以下「田辺ファーマ」)は、赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)*およびX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)*の成人および青年期の患者を対象として開発を進めている経口剤MT-7117(一般名:dersimelagon、デルシメラゴン)(選択的メラノコルチン1受容体作動薬)の国際共同第3相臨床試験(INSPIRE試験)について、3月28日のAmerican Academy of Dermatology(AAD2026)にて、INSPIRE試験のトップライン結果を発表しました。
デルシメラゴンは、主要評価項目を達成し、主要解析である12~16週におけるプラセボと比較した初期の前兆症状が現れるまでの平均日光曝露時間が、統計的に有意かつ臨床的に意味のある延長を示しました(プラセボ調整後の最小二乗平均差は23.19分(p=0.004))。16週時点では、その効果が29.64分(p=0.004)にまで増加しました(補足的解析)。
副次評価項目も達成されており、患者による全体的変化印象(PGIC)および総疼痛イベント数の減少について、プラセボと比較して統計的に有意な差が認められました(PGIC:-1.83、p<0.001;総疼痛イベントの減少:39%、p=0.004)。これらの結果は、主要評価の結果が臨床的に意味があることを補足するものです。
プラセボより多く発生した有害事象の中で、最も多かったものは色素性母斑(メラノサイト性母斑)、頭痛、吐き気、下痢、皮膚の色素沈着であり、これらはいずれもMC1Rアゴニスト作用に関連するものとして知られています。INSPIRE試験では、EPPまたはXLPの12~75歳の成人および青少年165名が登録されています。[これまでに、デルシメラゴンはEPPまたはXLPの410名参加者を対象に臨床試験が実施されています]
「今回のフェーズ3試験の結果は、EPPおよびXLP患者において、疼痛が生じる前の光耐性に臨床的な改善が認められたことを示しています」と、マサチューセッツ総合病院ポルフィリアセンターの共同創設者・共同ディレクターであるAmy Yueng, MD, MScは述べています。「EPP および XLP の患者さんは、日々、光に対する耐性の低さに苦しんでいます。今回の結果は、彼らにとって新たな治療選択肢となり得る可能性を示唆するものです。」
EPPおよびXLPは、ヘム生合成経路の障害によって生じる、重篤かつ生涯にわたる遺伝性疾患であり、日光や一部の人工光への曝露後に、激しい痛みを伴う光毒性反応を引き起こすのが特徴です。症状は曝露から数分以内に発生することがあり、多くの場合、幼少期から始まり、患者が学校や仕事、日常生活に参加することを大きく制限します。成人向けの治療選択肢は依然として限られており、青少年向けには承認された治療法はありません。
「INSPIREの発表は、深刻な日々の負担と大きなアンメット・メディカル・ニーズに直面し続けているEPPおよびXLPの患者さんにとって、重要な節目となるものです」と田辺ファーマ 代表取締役CEOである原田明久は述べました。「デルシメラゴンは、EPPおよびXLP患者に対して、フェーズ3試験で臨床機能的効果を示した初めての経口治療薬であり、承認されればこれらの患者さんにとって初の経口治療選択肢となる可能性があります。INSPIRE試験で得られた良好なデータを踏まえ、デルシメラゴンの新薬承認申請に向けて、さらなる展開を期待しています。」
デルシメラゴンは、FDAよりファストトラック指定およびオーファンドラッグ指定を受けており、これは重大なアンメット・メディカル・ニーズと有意義な治療効果の可能性が認められたことを示しています。
田辺ファーマは、FDAへのローリング方式での新薬承認申請(NDA)の準備を開始しています。
*難病情報センターウェブサイト: https://www.nanbyou.or.jp/entry/5546
デルシメラゴンは田辺ファーマによって創製されました。デルシメラゴンは、新規に合成された経口投与可能な非ペプチド性の低分子です。メラノコルチン1受容体(MC1R)の選択的作動薬であり、赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)およびX連鎖プロトポルフィリン症(XLP)患者において無痛での光曝露の増加効果が期待されています。田辺ファーマはEPPおよびXLPの治療薬としてデルシメラゴンを開発中です。デルシメラゴンは現在治験薬であり、FDAや他の世界の規制当局によって承認されていません。田辺ファーマは2018年6月に米国食品医薬品局(FDA)よりデルシメラゴンのファストトラック指定を取得しました。
INSPIRE試験は、EPPまたはXLPの成人および青少年患者を対象としたグローバルな、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照の第3相臨床試験です。参加者はプラセボ群またはアクティブ治療群(デルシメラゴン200mgを1日1回投与)のいずれかにランダムに割り付けられ、16週間の二重盲検期間の後、36週間のオープンラベル期間(アクティブ治療)が設けられました。主にタナベファーマアメリカ(米国ニュージャージー州ジャージーシティ)が実施した本試験には、EPPまたはXLPの患者(12歳以上75歳未満)165名が登録されました。二重盲検治療期間は終了しており、オープンラベル期間は継続中です。
希少疾患である赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)は、フェロケラターゼ(FECH)遺伝子の変異から生じるヘム生合成経路の遺伝的疾患のひとつです。また、より稀なヘム生合成遺伝子の遺伝的疾患として、δ(デルタ)-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)遺伝子変異から生じるX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)があります。EPPおよびXLPの特徴的な症状は、血液、赤血球や組織へのプロトポルフィリン蓄積および皮膚の光毒性です。EPPおよびXLP患者は、通常、幼少期から激しい痛みを伴う光毒性反応を示すようになりますが、それより前に、皮膚が日光に暴露されることにより、疼くような、刺すような、または灼けるような感覚の「前駆症状」が現れます。直射日光暴露後の前駆症状は様々ですが、10分未満で発現することもあります。重要なことは、前駆症状の発現後も持続的に日光に暴露されると、光毒性による疼痛が発現することです。