日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:カーラ・アルカサル、以下、日本イーライリリー)と田辺ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役CEO:原田明久、以下、田辺ファーマ)は、2型糖尿病治療薬「マンジャロ®皮下注」(一般名:チルゼパチド、以下マンジャロ)について、国際共同第Ⅲ相心血管アウトカム試験(SURPASS-CVOT試験)の結果に基づき、電子化された添付文書(以下、電子添文)を改訂したことをお知らせします。尚、本試験結果は2025年12月にNew England Journal of Medicineに掲載されました1。
電子添文における変更点は以下の通りです。
- 電子添文の「17. 臨床成績」の「17.1 有効性及び安全性に関する試験」に、「17.1.5 実薬対照二重盲検比較試験(第Ⅲ相国際共同試験)」として、本試験の結果を追加
SURPASS-CVOT試験は、2型糖尿病と動脈硬化性心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中または末梢動脈疾患)の既往がある成人を対象に、2つのインクレチン作動薬を直接比較した初の心血管アウトカム第Ⅲ相試験です。GIPとGLP-1両受容体の作動薬であるマンジャロが、REWIND試験で心血管への影響が示唆されたGLP-1受容体作動薬のデュラグルチド(販売名:トルリシティ®)と比較されました。マンジャロは主要評価項目を達成し、主な心血管イベント(MACE-3:心血管死、心筋梗塞、脳卒中)の発生率においてデュラグルチドに対し非劣性を示しました。さらに、多重性調整された第1種過誤率の調整はされていないものの、マンジャロはHbA1c、体重、腎機能、および全死亡率といった主要指標において改善を示しました。この試験は、世界30か国で13,000人以上の参加者を対象に、4年以上にわたって実施されたもので、チルゼパチドに関する過去最大かつ最長の臨床試験です。日本人患者はマンジャロ群に47例、デュラグルチド群に46例が含まれました。本試験結果により、マンジャロは、国内第Ⅲ相臨床試験において認められた血糖降下作用のみならず、心血管への影響が示唆されました。尚、主要な心血管系事象はマンジャロ群798例、デュラグルチド群859例で、ハザード比は0.92[95.3%信頼区間:0.83–1.01]でした。
SURPASS-CVOT試験の概要につきましては、2025年8月1日配信のプレスリリースをご参照ください。
https://mediaroom.lilly.com/jp/previewPDF/2025/25-31_com.jp.pdf
日本イーライリリーと田辺ファーマは、2型糖尿病のある人々のより豊かな人生の実現に貢献するため、研究開発や適正使用のための情報提供活動および疾患啓発活動を通じ、引き続き尽力してまいります。
SURPASS-CVOT試験(心血管アウトカム試験)(NCT04255433)は、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の既往がある2型糖尿病患者を対象に、マンジャロ(チルゼパチド)とデュラグルチドの有効性および安全性を比較評価した、多施設共同、無作為化、二重盲検、並行群間、実薬対照、第Ⅲ相臨床試験です。主要評価項目は、マンジャロがデュラグルチドと比較して、心血管死、心筋梗塞、脳卒中で構成される主要心血管イベント(MACE-3)の初回発現までの時間であり、そのリスク低下においてデュラグルチド1.5mgに対するマンジャロの非劣性を検証しました。試験には、30か国640施設において13,299人が参加し、40歳以上でBMIが25kg/m2以上かつHbA1cが 7%以上10.5%以下の成人が試験に組み入れられました。試験期間は約5年間(中央値の追跡期間は4年)でした。試験参加者はマンジャロ群(5mg、10mg、15mgの最大耐用量)またはデュラグルチド群(1.5mg)に1:1の割合で無作為に割り付けられ、週1回皮下投与されました。2.5mgから開始し、最大耐用量(5mg、10mg、15mg)に到達するまで4週間ごとに2.5mgずつ段階的に増量されました。15mgを耐容できた試験参加者は15mgを継続し、15mgを耐容できず10mgを耐容できた試験参加者は10mgを継続、10mgを耐容できず5mgを耐容できた試験参加者は5mgを継続しました。
REWIND試験(NCT01394952)は、2019年に発表された多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験です。心血管疾患の有無にかかわらず2型糖尿病のある成人を対象に、デュラグルチド1.5mgの効果をプラセボと比較して評価することを目的に実施されました。主要な心血管アウトカムは、MACE-3(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)の初回発症でした。副次評価項目には、主な複合心血管アウトカムの各構成要素、網膜疾患または腎疾患を含む臨床的微小血管アウトカムの複合、入院を要する不安定狭心症、心不全による入院または緊急受診、全死亡率が含まれます。この試験には、24か国から9,901人の参加者が登録され、糖尿病の平均罹病期間は10.5年、ベースラインのHbA1c中央値は7.2%でした。
チルゼパチドは、週1回投与のグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体の両受容体に作用する作動薬であり、元々体内に存在するインクレチンホルモンであるGIPおよびGLP-1の体内受容体を活性化する単一分子です。GIPとGLP-1の受容体はいずれも、食欲調節に重要なヒトの脳領域に認められます。チルゼパチドはカロリー摂取を減少させ、その効果は食欲への作用を介していると考えられています。チルゼパチドはこれまで、日本において、2023年に2型糖尿病治療薬「マンジャロ」として発売されました。また2025年には肥満症治療薬「ゼップバウンド」として発売され、さらに2026年5月には中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する治療薬「ゼップバウンド」としても適応追加承認を取得しています。
日本イーライリリー株式会社は、米国に本社をおくグローバル製薬企業イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人として、最先端の科学技術を基盤とした革新的医薬品の研究開発および供給に、50年以上にわたり継続的に取り組んでいます。ダイアベティス(糖尿病)、肥満症、がん、アルツハイマー病を含む中枢神経系疾患、自己免疫疾患など幅広い領域において医療の可能性を切り拓き、誰もが必要な医療を安心して受けられる社会づくりや、人々の健康で豊かな人生の実現に貢献してまいります。
詳細は当社ウェブサイトをご覧ください。https://www.lilly.com/jp
田辺ファーマ株式会社は、「病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を。」をMISSIONに掲げ、日本を事業基盤とする製薬企業です。1678年の創業以来、340年以上にわたり培ってきた知見と信頼を礎に、R&D、事業開発および戦略的パートナーシップを通じて、アンメット・メディカル・ニーズに応える革新的な医薬品を創出し、患者さんのより良い未来に貢献することをめざしています。
詳細は、https://www.tanabe-pharma.com/をご覧ください。
出典:
1:N Engl J Med 2025;393:2409-2420 DOI: 10.1056/NEJMoa2505928. Cardiovascular Outcomes with Tirzepatide versus Dulaglutide in Type 2 Diabetes | New England Journal of Medicine