田辺ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役CEO:原田明久、以下「田辺ファーマ」)は、「ユプリズナ点滴静注100㎎」(一般名:イネビリズマブ(遺伝子組換え)、以下「ユプリズナ」)について、「全身型重症筋無力症(ステロイド剤またはステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」の効能または効果の追加承認を9月16日に厚生労働省より取得しました。

 

全身型重症筋無力症は、B細胞が関与する希少な慢性自己免疫疾患であり、神経筋接合部における刺激伝達が障害されることで発症します1)-3)。本疾患は主にアセチルコリン受容体(以下「AChR」)および筋特異的チロシンキナーゼ(以下「MuSK」)に対する自己抗体によって引き起こされることが知られており、これらの自己抗体はCD19陽性B細胞、特に形質芽細胞や一部の形質細胞によって産生されると考えられています1)-3)。本疾患は筋力低下、呼吸困難、嚥下障害、発話障害、複視や眼瞼下垂などの眼症状を特徴とします1)-3)。全身型重症筋無力症の治療薬として、ステロイドならびにステロイド以外の免疫抑制剤および分子標的薬が承認されています。

 

ユプリズナは自己抗体を産生するCD19陽性B細胞を標的とする抗体医薬品であり、承認日時点において本邦で承認されている全身型重症筋無力症治療薬の中で唯一の作用機序を有しています。

 

今回の追加効能の承認は、ユプリズナの導入元であるアムジェン社と共同で実施中の国際共同治験(以下「MINT試験」)4)の結果に基づいています。MINT試験は、抗AChR抗体陽性および抗MuSK抗体陽性の全身型重症筋無力症患者さんを対象とした最大規模の第3相試験であり、ステロイドの漸減を治験デザインに組み込んだ初めての臨床試験です。ベースライン時にステロイドを服用していた患者さんは、治験計画に従い投与開始4週目からステロイドの漸減を開始し、24週目までにプレドニゾロン5mg/日まで減量しました。その結果、26週時点においてユプリズナ投与群の87.4%、プラセボ投与群の84.6%の患者さんがステロイド用量を1日5mg以下に減量していました4)。主要評価項目である26週時点の日常生活動作への影響の評価指標(Myasthenia Gravis-Activities of Daily Living、以下「MG-ADL」*)のベースラインからの変化量について、ユプリズナ投与群はプラセボ投与群と比較して1.9ポイントの差を示し、統計学的に有意に改善しました(-4.2 vs. -2.2;p<0.0001)。また、抗AChR抗体陽性の患者さんにおいては、MG-ADL*の症状改善は52週まで維持され、ユプリズナ投与群ではプラセボ投与群と比較して2.8ポイントの差を示しました(-4.7 vs. -1.9;95%信頼区間:-3.9~-1.7)4)

 

田辺ファーマは、これからもアンメット・メディカル・ニーズに応える医薬品を、自社開発や他社等とのパートナリングを通して、患者さんへ提供できるよう取り組んでまいります。

ユプリズナについて

ユプリズナは、基礎疾患の進行に関与する形質芽細胞および一部の形質細胞を含む自己抗体産生CD19陽性B細胞を標的として、持続的に枯渇させるヒト化モノクローナル抗体です。ユプリズナが治療効果を発揮する正確なメカニズムは不明ですが、ユプリズナはCD19に特異的に結合し、CD19陽性B細胞を減少させることで、病的IgG自己抗体を含むIgG抗体産生の抑制に寄与すると考えられています。患者さんは、初回投与の14日後に2回目の投与を受け、以降初回投与から6ヵ月ごとに1回の投与を受けます。
日本では2021年3月に「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能または効果とする新規医薬品として製造販売承認を取得しました。さらに、「IgG4関連疾患の再燃抑制」の追加効能が2025年11月に承認されました。

全身型重症筋無力症について

全身型重症筋無力症は、B細胞が関与する希少な慢性自己免疫疾患であり、神経筋接合部における刺激伝達が障害されることで発症します1)-3)
全身型重症筋無力症の病態形成にはB細胞が中心的に関与し、主にAChRおよびMuSKの自己抗体によって引き起こされることが知られています。これらの自己抗体は主にCD19陽性B細胞、特に形質芽細胞や一部の形質細胞によって産生され、神経筋接合部の重要なタンパク質を標的とし、障害を引き起こします1)-3)。神経筋伝達の障害により、全身型重症筋無力症では筋力低下、呼吸困難、嚥下障害、発話障害、複視や眼瞼下垂などの眼症状を特徴とします1)-3)
本邦の重症筋無力症患者数は2018年の全国疫学調査では約29,000人、有病率は10万人あたり23.1人と推定されます。重症筋無力症の発症年齢の中央値は59歳であり、男女比は女性にやや多く、重症筋無力症患者の約80%が全身型重症筋無力症であると報告されています4)5)

MINT試験について

MINT試験は、抗AChR抗体陽性または抗MuSK抗体陽性の全身型重症筋無力症患者さんを対象に、ユプリズナの有効性および安全性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験(NCT04524273)です。本試験には成人の全身型重症筋無力症患者さんが238名組み入れられ、そのうち190名が抗AChR抗体陽性、48名が抗MuSK抗体陽性でした。スクリーニングおよび無作為化時の適格基準には、Myasthenia Gravis Foundation of America分類II・III・IVのいずれか、MG-ADL*スコアが6~10で、そのうち非眼筋項目が50%超を占めている、またはMG-ADL*スコアが11以上、QMG(Quantitative Myasthenia Gravis)*スコアが11以上で、ステロイドやステロイド以外の免疫抑制剤を使用していることが含まれていました。
主要評価項目はベースラインから26週時点までのMG-ADL*スコアの変化でした。主な副次評価項目には、全体集団のQMG*スコアのベースラインからの変化、抗AChR抗体陽性コホートおよび抗MuSK抗体陽性コホートそれぞれにおける26週時点のMG-ADL*スコアのベースラインからの変化、同じくQMG*スコアのベースラインからの変化が含まれていました。試験参加時にステロイドを使用していた患者さんは、治験計画に従い投与開始4週目から24週目にかけてプレドニゾロン5mg/日まで漸減しました。MINT試験には、二重盲検期間終了後に最大3年間の非盲検期間が設定されています。

* MG-ADL(Myasthenia Gravis–Activities of Daily Living:重症筋無力症-日常生活動作)は全身型重症筋無力症が日常生活の機能に及ぼす影響を評価するもので、全身型重症筋無力症によって影響を受ける8つの徴候または症状について評価します。各項目は4段階評価で、スコア0は正常な機能を示し、スコア3はその機能を果たす能力の喪失を示します。合計スコアは0から24までで、高いスコアほど障害が大きいことを意味します7)

 

* QMG (Quantitative Myasthenia Gravis:定量重症筋無力症)は主に筋力低下を評価することによって疾患による障害の度合いを定量的に測定するもので、13項目を評価します。各項目は4段階評価で、0は障害(筋力低下)がないこと、3は重度の障害(筋力低下)があることを示します。合計スコアは0から39までで、高いスコアほど障害が重度であることを意味します7)

 

  1. Yi JS, et al.: Muscle Nerve. 2018;57(2):172-184
  2. Willcox HN, et al.: Clin Exp Immunol. 1984;58:97-106
  3. Stathopoulos P, et al.: JCI Insight. 2017;2(17):e94263
  4. ClinicalTrials.gov. NCT04524273
  5. Suzuki S, et al.: Clin Exp Neuroimmunol. 2023; 14: 5–12
  6. Yoshikawa H, et al.: PLoS One. 2022 Sep 21;17(9): e02741614
  7. Wolfe GI, et al.: Neurology. 1999 Apr 22; 52(7): 1487-9

田辺ファーマについて

田辺ファーマ株式会社は、「病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を。」をMISSIONに掲げ、日本を事業基盤とする製薬企業です。1678年の創業以来、340年以上にわたり培ってきた知見と信頼を礎に、R&D、事業開発および戦略的パートナーシップを通じて、アンメット・メディカル・ニーズに応える革新的な医薬品を創出し、患者さんのより良い未来に貢献することをめざしています。
詳細は、https://www.tanabe-pharma.com/をご覧ください。