製薬企業には医薬品の使用に際して必要な品質や有効性、安全性に関するすべての情報を、医療関係者に対して確実かつ継続的に提供、収集、伝達することが求められています。さらに、急速なデジタル技術の進化と普及により、製薬会社の情報提供活動も拡がりを見せています。
当社グループは、多様化する医療ニーズにお応えして医療への貢献を果たすとともに、患者さん個々の病態に応じた最適な治療提案、医薬品の適正使用と普及に向けた情報提供活動に取り組んでいます。
当社は、MR(医薬情報担当者)による全国の医療関係者への情報提供を通じ、患者さんに最適な薬剤を届けるべく活動しています。
デジタル技術の進歩とともに、医療を取り巻く環境も大きく変化していますが、こうした動きに対応してデジタルマーケティングを推進しています。
医療機関への訪問面談をベースとしていた従来のMR活動に加え、医師ニーズに合わせてオンライン面談やWebコンテンツといったデジタルチャネルも駆使したオムニチャネルプロモーションを展開しています。
- 医薬品の適正使用に関わる安全性情報および科学的根拠のある学術情報の伝達
- 研究開発の段階では得られなかった有効性や安全性などの情報収集とその結果に基づいた評価などを報告
また、当社ではさらに専門性の高い情報が必要な医薬品については、スペシャリティ領域専門の担当者を設置しています。
当社は、疾患啓発セミナーやイベントを通じて、患者さんや社会に対して、疾患に対する理解を深め、快適な生活を送るために役立つ情報を提供しています。
2025年11月に、当社とJADEC(公益社団法人日本糖尿病協会)、読売新聞社および日本イーライリリー株式会社との共催で糖尿病治療に関するオンライン市民公開講座「ひとりで『頑張る』だけじゃ、血糖値は下がらないかも」を開催し、1,383人の方々に参加いただきました。
市民公開講座は専門医による講演とトークセッションの2部構成で行われ、糖尿病の専門医に登壇いただきました。「糖尿病」という言葉は病態を正しく表しておらず、誤解や偏見を生み、患者さんが社会生活で不利益を受けることもあるため、新たな呼称として「ダイアベティス」を提案したことや、正しい理解を広める取り組みについて紹介いただきました。
糖尿病のある人はホルモンや代謝変化の影響で、血糖値が下がりにくい体になっていることがあります。近年は糖尿病の治療選択肢が広がっており、患者さんが自分に合った治療法を見つけるための情報やヒントなどを共有いただきました。
トークセッションでは、血糖値にとらわれず人生の目標を話し合うことで患者さんの前向きな治療につながる、具体的な取り組みなどについて活発な議論が行われました。
当社は糖尿病(ダイアベティス)の正しい理解を広め、患者さんが前向きに治療と向き合えるよう取り組んでいきます。
オンライン市民公開講座のご案内
※ 応募、講座は終了しています。
2025年12月、当社と日本イーライリリー株式会社は、「肥満症」の正しい理解の促進を目的として「肥満と肥満症のただしいミカタ研修(以下、本プログラム)」を一般企業向けに初めて実施しました。
本プログラムは、「楽しく」学べる体験型ワークショップと、「ただしく」学べる医師による疾患解説で構成されており、誤解されがちな肥満や肥満症について「楽しく」「ただしく」知り、職場など身近なコミュニティから誤解や偏見を解消していくことで、当事者がより良い人生を実現できる社会の創造へ貢献することをめざしています。
体験型ワークショップでは、医師監修のもと開発した「みえない偏見カード」と「みえない要因すごろく」を活用し、参加者同士が意見を交わしながら理解を深めます。これにより、「肥満は自己管理だけの問題」といった無意識のうちに抱いてしまいがちな誤解や偏見に気付き、実際は肥満にはストレスや遺伝、社会環境など、本人の努力だけでは解決が難しい多様な要因があるということについて学ぶことができます。さらに、医師による疾患解説を通じて、肥満や肥満症についてより深く、「ただしく」学びます。
今回は、健康経営やWell-beingの推進に取り組む企業の人事担当者、保健師、社員の方々に参加いただきました。参加者からは、「楽しみながら学べた」「健康な職場づくりの参考になった」といった声が寄せられ、職場から社会へ「肥満」や「肥満症」への理解を広げる第一歩となりました。
また、本プログラムWebサイト(https://www.tanabe-pharma.com/ja/general/obesity-tadashii-mikata.html)において、誰もが学べるよう両ツールを無料でダウンロードできる形式で公開しています。
当社は日本イーライリリー株式会社とともに、本プログラムを通して、肥満のある人やその周囲の人が、肥満や肥満症に対するただしいミカタ(見方)を知り、肥満や肥満症の人がより働きやすい職場環境や社会をつくるミカタ(味方)となるよう、引き続き取り組んでいきます。

- 拡大
- ミカタ研修のプロジェクトロゴ
セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」(WHO定義)です。
当社ではセルフメディケーションの推進を目的に、さまざまな疾患領域において悩みを抱える多くの方が自分の症状を正しく知り、少しでも早く治せるよう、テレビCMやWebサイトを通じてさまざまな啓発活動を行っています。
皮膚領域では、医師や薬剤師などの専門家が監修する情報サイト「ヒフノコトサイト」にて、皮膚トラブル全般の情報をわかりやすく提供しています。
2025年度は、ステロイド外用剤の基礎知識に関する情報ページの更新に加え、AI検索への対応を進め、情報へのアクセス性向上を図りました。その結果、年間で1,000万人を超える方々にご利用いただきました。
鼻炎領域では、アレルギー専用鼻炎薬「タリオンAR」が2024年度に第1類医薬品から第2類医薬品へと医薬品分類が移行したことに伴い、登録販売者による販売が可能となり、販売店舗が大幅に増えました。2025年度よりバカリズム氏を起用したテレビCMを展開し、「花粉による鼻水だけでなく、鼻づまりにも効果を発揮する」という製品特長を発信することにより、花粉症患者さんに対するセルフメディケーションの推進に取り組みました。また、ブランドサイトでは花粉症患者さんの啓発を目的として、昨年同様に花粉飛散予測情報をエリア別にまとめた花粉カレンダーを公開しました。
近年、女性の身体や健康をケアするFemcare(フェムケア)という領域が注目を集めています。
当社では、2010年に腟カンジダ再発治療薬「オキナゾールL100」(1日1回1錠を6日間使用)を発売し、2023年6月には1錠(1回)の使用で効果を発揮する利便性の高い「オキナゾールL600」を発売しました。さらに、2025年2月に発売したデリケートエリアのかゆみを飲んで治す「メディピュアN」に続き、10月にステロイド成分配合外用剤「メディピュアST」とノンステロイドで清涼感のある「メディピュアCR」を発売し、フェムケア領域における製品の拡充を図っています。
オキナゾールL・メディピュアのブランドサイトでは、疾患啓発や医師監修ページを充実し、フェムケア領域におけるセルフメディケーションの更なる推進に取り組んでいます。
※参考 「ヒフノコトサイト」
URL https://hc.tanabe-pharma.com/hifunokoto/
当社グループは、海外に約300人のMR(医薬情報担当者)を有しており、医薬品を適正にご使用いただくため、米国、欧州では英国・ドイツ・オーストリア・スイス、アジア地域では韓国・台湾・シンガポール・インドネシア・タイ・マレーシアにおいて海外現地法人を通じた適正使用の情報提供に努めています。医薬情報提供活動に携わるMRは、医療機関等への訪問、関連学会への参加、専門医の方々との意見交換、最新の学術情報の提供を通じ、医療関係者の方々の診療に貢献できるよう、日々活動しています。
2017年5月、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬エダラボンが米国で承認され、同年8月より、当社米国現地法人 タナベ ファーマ アメリカ(TPA)を通じて、医療関係者に対する適正使用情報の提供や安全性情報の収集を行ってきました。
TPAの提供するプログラム「JourneyMate Support Program」を通じてALSと診断された患者さんやご家族への疾患や治療に関する情報の提供、患者さんそれぞれに合わせた治療管理、保険償還サポート、エダラボン処方後の米国専門スタッフ(クリニカルエデュケーター)による情報提供を行い、ALS患者さんをサポートしています。
当社は現在も、こうした経験を活かし、各国・地域の規制や医療環境に配慮した責任ある情報提供に取り組んでいます。
なお、エダラボン事業はその後、他社へ譲渡されていますが、本事例は、当社の海外における情報提供体制や取り組みを示す実績として掲載しています。
主な取り組み
TPAでは、ALSとともに生きる患者さんやご家族をサポートするため、年間を通じて、患者さんを支援するイベントに参加しています。ナショナルスポンサーとして、米国ALS協会のWalk to Defeat ALSを後援したほか、TPA従業員も全米各地のイベントに参加しています。ALS疾患の啓発・認知度向上ならびにALS患者さんやそのご家族、介護者の方々へのALS疾患教育等を目的としたさまざまな疾患啓発イベント、ALSに関する有用な情報提供を目的とした患者さん向けのウェビナーの開催や後援などにも積極的に取り組んでいます。
また、ALS PathwaysやJourneyMate Support Programを通じてALSに関する情報の提供を行っており、ALSと診断された患者さんやご家族が、必要な情報にアクセスできるよう活動しています。
アジアでは、台湾・韓国・アセアンを中心に、糖尿病や精神神経系領域における医薬品を、より早く患者さんにお届けする取り組みを進めています。
台湾では、遅発性ジスキネジア治療薬バルベナジンおよび脂質異常症治療薬ピタバスタチンカルシウム水和物/エゼチミブの販売を開始しました。
アセアンでは、タイにおいて2型糖尿病治療薬カナグリフロジンの販売を開始し、インドネシアでは神経障害性疼痛治療剤ミロガバリンベシル酸塩の販売を開始しました。
これらの活動により、糖尿病や精神神経系領域をはじめとするさまざまな疾患と闘うアジアの患者さんにも、希望ある治療の選択肢を提供できるよう、今後も努めていきます。
当社は、以下に関する健康支援サイトを国内、グローバルで開設しています。
当サイトでは、これらの病気の症状や診断、治療について、多くの方々に正しい理解を深めていただけるよう、わかりやすく紹介しています。疾患に対する理解の浸透や治療の大切さを伝えるとともに、患者さんやご家族の日常生活をサポートするお役立ち情報を、イラストなども交えて提供しています。また、医師、薬剤師などの医療関係者から、患者さんやご家族に紹介していただけるように、健康支援サイトの情報をまとめたリーフレットも作成しています。
2025年度の主なサイト更新の状況です。
-
炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)
「知っトクカフェ クローン病」に掲載中のコンテンツ「おしりの悩みチェック」内に、おしりの悩みを相談するツールとして、おしりのチェックシートを掲載しました。
-
予防接種
「ワクチン.net」では生涯を通じた予防接種を紹介するため、年齢別に接種すべきワクチンを確認できる「みんなのワクチンロードマップ」を掲載しています。また、お子さんの生年月日を入力してオリジナルの接種スケジュールを作成できる「マイスケジュールをつくろう」を提供しています。
-
遅発性ジスキネジア
「いっしょにみつける、ささえる サーチライト」では、遅発性ジスキネジアの症状と治療に関する情報提供として「患者さんの声」と「患者さん体験談動画 Ver.1~3」、「動画に基づく漫画 Ver.1〜3」を追加しています。
-
睡眠障害
「スイミンネット」では、「“眠り”のしくみ」シリーズで、“眠り”についての理解を深めることで、インターネット、SNS上にあふれる睡眠情報の真偽を個人で見分け、 健康のための“眠り”を知る、考える場を提供しています。ライフサイクルと睡眠、過眠について新たに掲載しました。
-
視神経脊髄炎スペクトラム障害
「NMOSDナビ」では視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の疾患解説・診断・治療・医療費負担について掲載し、患者さんの生活に関わるトピックスについても紹介しています。
- 関節リウマチ
https://www.riumachi21.info/
- 潰瘍性大腸炎
https://www.remicare.jp/uc/
- ベーチェット病
https://bd-navi.jp/
- 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症(SCD・MSA)
https://scd-msa.net/
- 肝機能障害
https://kankinou.net/
- 視神経脊髄炎
https://nmosd-navi.net/
- 遅発性ジスキネジア
https://td-searchlight.jp/
Webサイト「患者さんのためのくすりの情報」
当社は、患者さんのくすりに対する正しい知識と理解を深め、くすりの適正使用を推進することを目的として、当社の医療用医薬品を使用中の患者さんに向けたwebサイト「患者さんのためのくすりの情報」を開設しています。
当サイトにより、いつでも、どこでも最新の当社の医療用医薬品の情報を入手していただけるようになりました。また、医療関係者の方々には、服薬指導時のツールの一つとしてご活用いただけます。
患者さんのためのくすりの情報
https://patients.tanabe-pharma.com/
スマートフォンから簡単かつスピーディーに、知りたい当社製品情報にアクセスいただけるほか、供給関連情報や添付文書の改訂など最新のお知らせをメッセージ配信し、タイムリーにお届けします。
- 田辺ファーマメディカルinfoは、国内の医療関係者を対象に、医療用医薬品を適正にご使用いただくことを目的としています。
2025年2月、医療関係者の利便性向上を目的として、医療関係者向け情報サイトMedical View Point内に「患者用資材発注サイト」を開設しました。本サイトより、24時間いつでも患者用資材をご注文いただけます。
当社は、医療関係者(医師、薬剤師、特約店など)および患者さんからの問い合わせに対応する窓口として、「くすり相談センター」を設置しています。
医療関係者向けとは別に、患者さん・ご家族専用の窓口を設けることで、より相談しやすい体制を整備するとともに、患者さん・ご家族の皆さまが当社医療用医薬品に関する情報を直接入手いただける「患者さんのためのくすりの情報」サイトを開設しています。
「くすり相談センター」のコミュニケーターは、問い合わせの真のニーズを把握し、満足度の高い対応ができるよう、日々スキル向上に努めています。年間約4万件(2025年度実績)に及ぶ多様な問い合わせに対して、医薬品の基本情報や社内Q&Aを活用し、適正使用に関する情報提供を行っています。
また、寄せられた副作用をはじめとする安全性や品質に関する情報は社内で共有し、製品の信頼性向上や改良、さらには新薬開発に活かしています。
近年は、情報入手経路の多様化やデジタル技術の進展を踏まえ、Webサイトにおける製品Q&Aの充実を図るとともに、LINE公式アカウントなどのデジタルチャネルを導入し、24時間365日いつでも必要な情報にアクセスできる環境を整えています。
今後も、時代の変化に柔軟に対応しながら、「誠実・正確・迅速」に医薬品の適正使用情報を提供し、患者さんの健康に貢献していきます。
くすり相談センターへの問い合わせ件数推移
くすり相談センターへの問い合わせ内容
- FD案内:窓口間違いによるフリーダイヤル案内
その他:効能効果外、体内動態、臨床試験など

